消費者金融はなぜ銀行の傘下に入ったのか?またどんな影響があった?

2016年11月24日

消費者金融はなぜ銀行の傘下に入ったのか?またどんな影響があった?

現在、大手消費者金融はそのほとんどが、大手銀行の傘下に入っているという事はご存知だと思われます。消費者金融と言えばカードローンが有名ですが、また銀行も同じようにカードローンを提供しています。 なぜ銀行は消費者金融を傘下に入れたのか、また消費者金融もなぜ銀行の傘下に入ったのかという疑問が湧く方もいるでしょう。 この記事では、そんな疑問を抱く方に向けて「消費者金融はなぜ銀行の傘下に入ったのか?」という理由について解説していきます。また、消費者金融が銀行の傘下に入った事によって、どのような影響があったのか、という事についても解説していきます。

目次

まずは消費者金融と銀行カードローンの違いについて

カードローンには、大きく分けて「消費者金融カードローン」と「銀行カードローン」の2つがあります。なぜ2つに分かれているのかと言うと、以下の事が挙げられます。

まず、消費者金融カードローンは貸金業法という法律に則り、貸し出しを行なっています。次に、銀行カードローンは銀行に適用される銀行法に則って貸し出しを行なっています。つまり、2つのカードローンの大きな違いは、適用される法律が違うという事です。

借りる側に影響を与えるのは総量規制

消費者金融と銀行の、2つのカードローンで適用される法律が違うとは言っても、法律の違いで借りる側に影響を与えるのは「総量規制」ぐらいでしょう

総量規制とは、年収の3分の1以上の借り入れを規制する制度で、総量規制に引っ掛かると追加の借り入れが行えなくなります。総量規制は消費者金融に適用される貸金業法に含まれており、銀行に適用される銀行法にはそのような規制がありません。そのため総量規制が理由で、銀行カードローンを利用する人は少なからずいるようです。


一昔前の消費者金融と銀行カードローン

現在では、消費者金融と銀行カードローンの認知度は同程度になっていますが、一昔前までは、個人への少額融資と言えば消費者金融カードローンでした。

消費者金融は個人への貸し出しに特化

消費者金融は文字通り、消費者への融資に特化した貸金業者です。そのため、一昔前までは個人の借り入れ先といえば、消費者金融カードローンでした。また、銀行もカードローンのような個人向けの少額融資を行っていましたが、銀行は主に法人相手に貸し付けを行なっていたため、あまり力を入れていなかったようです。ですが、この構図はこれから解説する出来事によって、大きく変わっていきました。

大手消費者金融が大手銀行の傘下に入る事に

現在では、大手の消費者金融はそのほとんどが大手銀行の傘下に入っていますが、元から銀行の傘下に入っていたわけではなく、消費者金融はすべて独立して営業を行なっていました。ですが、以下のような事があり銀行の傘下に入る事になります。

きっかけはグレーゾーン金利

グレーゾーン金利とは、利息制限法と出資法の両方で定められた上限金利の差の事を言います
現在では、2010年6月18日に出資法の改正により、利息制限法と出資法の上限金利は同水準になっていますが、それ以前は上限金利に差がありました。同水準になる前、利息制限法の上限金利は20%でしたが、出資法で定められた上限金利は29.28%となっており、約9%の開きがありました。

利息制限法上限金利 出資法上限金利

2010年6月17日以前

10万円未満 20.0%
10万円以上100万円未満 18.0%
100万円以上 15.0%

29.28%

2010年6月18日以降

上に同じ

20.0%
(利息制限法を超える利息は無効)

消費者金融は利息制限法を超えて貸し出しを行っていた

2010年6月17日以前では、利息制限法で定められている上限金利を超えて発生した利息は、無効となっていました。ですが、出資法では29.28%までは許されていることや、利息制限法の上限金利を超えて貸し出しを行なっても罰則が無かったのです。そのため、ほとんどの消費者金融では、利息制限法の上限金利を超えて貸し出しを行う事が常態化していたようです
この利息制限法の上限金利を超える貸し出しが原因で、後の過払い金請求に繋がります。

グレーゾーン金利が違法と認定。過払い金請求が話題に

出資法改正のきっかけを作ったのが、2006年1月13日の最高裁で出された、グレーゾーン金利を違法とする判決でした。この事により出資法改正に繋がるのですが、民間では過払い金請求が話題になっていました。
過払い金請求は、利息制限法を超える上限金利で発生した利息を、過払い金請求を行うことによって取り戻せるというものでした。そのため、瞬く間に話題となり、過払い金請求を行う人が続出しました。

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過払い金請求によって経営難に陥った消費者金融

過払い金請求が続出した事によって、過払い金の返還で大幅な赤字になる消費者金融が増加しました。大手消費者金融も例外ではなく、数兆円の過払い金返還を行う所もあった程です。

そのため、過払い金返還が原因で廃業した消費者金融が多くあり、2006年には14,000社近くあった登録貸金業者は、現在では2,000社以下になっています。また、過払い金返還によって経営難に陥った大手消費者金融は、そのほとんどが大手銀行の傘下に入ることによって廃業を逃れる形になりました。

消費者金融が銀行の傘下に入ったワケ

通常、銀行が大幅な赤字を出している企業を傘下に入れる事は考えにくい事ですが、なぜ消費者金融が銀行の傘下に入ったかというと、銀行側にも様々な思惑があったからのようです。

収益の減少に悩まされていた銀行

バブル時代の銀行は、主に企業や不動産などの融資によって収益を上げていました。ですが、バブル崩壊によって企業などへの貸付が少なくなり、銀行は収益の減少に悩まされていました。元々、消費者金融との業務提携などによって、個人の貸し付け業務の拡大を行なっていた銀行でしたが、個人への少額融資のノウハウが少ない銀行では、思うように業績が伸びなかったようです。

銀行と消費者金融の利害が一致

銀行は、個人への融資拡大のためのノウハウが欲しかった。過払い金請求によって苦境に立たされていた大手消費者金融は、助け舟が必要だった。という利害の一致により、大手消費者金融が大手銀行の傘下に入る事になったようです。

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銀行側のメリット

銀行側のメリット

大手消費者金融を傘下に入れる事で、銀行は様々なメリットを得る事になりました。

個人への少額融資のノウハウを得た

銀行は、企業融資などのノウハウは充分に持っていましたが、個人融資のノウハウは充分とは言えませんでした。対して、消費者金融は長い間個人への融資を行なっていたため、個人融資のノウハウは銀行よりも優れていました。そこで、銀行は消費者金融を傘下に入れる事によって、そのノウハウを得る事ができました

保証・債権回収業務を消費者金融に任せた

現在、ほぼすべての銀行カードローンでは、申し込み条件に「保証会社の保証を受けられる方」という文言があります。この保証会社は、主に消費者金融がなっている事が多くありますが、これは消費者金融が銀行の傘下に入った事が大きいようです。

保証会社が何を保証するのかと言うと、銀行の行なった融資の返済がない場合には、保証会社が代位弁済を行うというものです。代位弁済を行うと、債権は保証会社である消費者金融に移るため、債権回収は消費者金融が行います。そのため、銀行は債権回収の手間が省け、大幅にリスクが少ない融資が行えるようになりました。

的確な与信判断が行える

保証会社の保証を受けるには、保証会社である消費者金融の審査を受ける必要があるため、申し込み者は消費者金融と銀行の両方で審査を受ける事になります。そのため、消費者金融しか知ることの出来ない信用情報の問題点があった場合、それを回避することが可能になるため、的確な与信判断が行えるようになりました

保証会社って何?保証人みたいなもの?

消費者金融にもメリットがあった

消費者金融は大手銀行の傘下に入る事によって、廃業の危機を乗り越える事ができたわけですが、その事以外にも様々なメリットがありました。

イメージアップにつながった

「サラ金地獄」という言葉があったように、消費者金融に対する世間のイメージはあまり良いとは言えないものでした。ですが、大手銀行の傘下に入る事によって、世間からのイメージも以前と比べると大分良くなっているようです

保証業務の拡大につながった

上限金利の引き下げによって、以前より収益の伸びが少なくなった消費者金融は、保証業務の拡大に乗り出しました。大手銀行の傘下に入っていた事によって、提携している銀行の保証業務も請負うきっかけができたとも言われています。

借りる側には影響があったのか?

借りる側には影響があったのか?

大手消費者金融が銀行の傘下に入る事によって、消費者金融と銀行の双方に様々な影響がありましたが、借りる側にはどのような影響があったのかを見ていきます。

審査スピード

まだ、大手消費者金融が独立していた時代には、大手銀行カードローンの審査スピードは消費者金融と比べると大分遅いと言われていたようです。ですが、消費者金融を傘下に入れた現在では、審査スピードは消費者金融と同等になってきているようです。

そのため、消費者金融が銀行の傘下に入った事によって、銀行カードローンの審査スピードに良い影響を与えたと言えるでしょう

限度額

銀行カードローンの場合、最大で1,000万円まで限度額の幅がありますが、消費者金融の場合は、500万円程度が一般的で、高くても800万円までとなっているようです。これは、冒頭でも解説した総量規制が影響していると考えられます。消費者金融が銀行の傘下に入っても、貸金業者である事には変わりないため、適用される法律は貸金業法のままです。

そのため、消費者金融が銀行の傘下に入ったからという理由で、限度額に影響を与える事は無いようです

金利

銀行カードローンの平均的な上限金利は15%となっています。ですが、消費者金融の平均的な上限金利は18%です。消費者金融の上限金利は一昔前と比べると低くなっていますが、これは出資法の改正による影響です。

そのため、消費者金融が銀行の傘下に入った事による、銀行カードローンと消費者金融の上限金利への影響は少ないと言えるでしょう

サービス面

消費者金融が銀行の傘下に入った事により、提携した銀行のATMなどが手数料無料で利用できるようになりました。また、その事によってコンビニATMなどでもより手軽に借り入れ・返済が行えるようになったため、消費者金融が銀行の傘下に入った事によってサービス面に良い影響を与えたと言えるでしょう。

便利な銀行カードローンが増えた

消費者金融が保証業務を拡大した事によって、地方銀行などもカードローンの審査が行いやすくなりました。そのため、地方銀行であってもカードローンに関しては、全国から申し込みを受け付けている場合もあり、それに合わせてWeb申し込みなどが出来る銀行カードローンが増えているようです。

借りる側に与えた影響はメリットが多かった

大手消費者金融の大手銀行傘下入りは、消費者金融の経営難というネガティブによって始まりました。しかし、借りる側にとっては審査スピード向上や、サービス面の強化などのメリットをもたらす事になりました。また、消費者金融が銀行の傘下に入る事によって、借りる側にデメリットをもたらしたという事も聞かないため、結果的にはメリットが多かったと言えそうです。

まとめ

・消費者金融と銀行カードローンは適用される法律が違う
・一昔前は個人の借り入れの先と言えば消費者金融だった
・大手消費者金融は過払い金請求の影響により、大手銀行の傘下に入る事になった
・銀行側と消費者金融側の利害が一致したため、傘下入りが決まった
・銀行は個人への少額融資などのノウハウを得るなどのメリットがあった
・消費者金融はイメージアップなどのメリットがあった
・借りる側にも審査スピードやサービス面でのメリットがあった

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