銀行カードローン貸付残高が上昇中。その背景とは?

銀行 総量規制

2017年1月18日

お金がない時の救世主カードローンですが、最近はCMなどで銀行カードローンを目にする事が多くなりました。銀行カードローンは、宣伝増加に伴い利用者もどんどん増え、ますます勢いづいています。では、なぜ銀行カードローンの貸付残高が増加しているのでしょうか?その背景に迫ります。

目次

銀行による消費者ローン貸付残高が、貸金業者の貸付残高を上回る

カードローンと言えば消費者金融というイメージが一般的ですが、そのイメージが変わってしまうような内容の記事が2016年8月の日本経済新聞に掲載されていました。それは、「銀行カードローンなどの個人向け商品の貸付残高が、消費者金融などの貸金業者の貸付残高を上回った」というような内容です。

銀行による消費者ローンの融資残高が2016年3月末、消費者金融やカード会社など貸金業者の残高を上回った。規制強化で融資を伸ばしにくい貸金業者を尻目に、マイナス金利下でも一定の利ざやが確保できるとみて銀行が攻勢をかけている。6月末まででみても、双方の残高の差は広がっており、銀行が最大の貸し手に浮上している。(中略)日銀と日本貸金業協会の統計によると、銀行によるカードローンを含む消費者向け貸出金残高は、3月末時点で前年同月比11%増の5兆1227億円。貸金業者は同1%増の5兆1150億円だった。双方の差は08年に約11兆円あったが、貸金業者の残高が急減。逆転につながった。 出典: 2016年12月末の日本経済新聞記事から引用

銀行カードローンの貸付残高はなぜ増加しているのか?

2016年8月末の毎日新聞ウェブ版から図を引用

バブル崩壊以降、リスクを極力避けたい銀行はカードローンなどの個人への貸付には消極的になっていたため、貸付残高は年々減少し2011年ごろまでは、低い水準になっていました。ですが、2012年頃からは年々増加し、2015年12月時点では1998年を上回る水準まで貸付残高が増えています。「なぜ貸付残高が増加したのか?」という事を考えると以下のような事が考えられます。


・貸金業法の改正
・貸金業者による銀行カードローンの保証業務の拡大
・日銀の金利政策による銀行の収益悪化

貸金業法改正による影響

貸金業法は、消費者金融やクレジット会社などの貸金業者に適用される法律で、この貸金業法は改正案成立後の2006年から2010年にかけて段階的に施行されました。

貸金業法改正の要因

バブル崩壊以降、消費者金融などの貸金業者は、個人の借り入れ窓口としてどんどん貸付残高を増やしていきました。ですが、貸付残高の増加と伴に消費者金融などからの借金が原因で自己破産する人や、自殺する人が増加しました。この事は「サラ金地獄」という言葉と伴に大きな社会問題になり、国会でも取り上げられ、それが貸金業法改正に繋がりました。

総量規制の影響で銀行カードローンを借りる人が増えた

総量規制は、消費者金融やクレジットカード・キャッシングなどの貸金業者に適用される制度で、「年収の3分の1以上の借り入れを規制する」というものです。総量規制により、お金を借りたい人の中には、消費者金融などの貸金業者からは借りる事ができない人が出てきました。

ですが、銀行カードローンは貸金業者とは違う銀行法に則って貸付を行っているため、総量規制に当てはまらず、消費者金融などで借りる事のできない人が銀行カードローンを頼る事になりました。

グレーゾーン金利撤廃・過払い金請求で消費者金融は経営難に

貸金業法の改正とともに出資法の改正が行われ、それまで問題視されていたグレーゾーン金利が撤廃される事になりました。そして過払い金請求が話題になると消費者金融は、過払い金返還に追われ収益が悪化していきました。その流れで大手消費者金融のほとんどは、銀行の傘下に入ることになり、銀行との結び付きが強くなりました。

消費者金融が保証会社になった事で銀行側のリスクが減少した

銀行カードローンに申し込みを行う際には、「保証会社の保証を受けられる方」という条件がどの銀行カードローンでも見られますが、この保証会社はそのほとんどが貸金業者となっています。

銀行は、無担保融資のノウハウが少なくリスクが大きい貸付は行なえませんでした。ですが、消費者金融などの貸金業者が保証会社になる事によって、債権回収などを貸金業者に丸投げする事が可能になり銀行側のリスクは大幅に減少しました。

また、銀行傘下の大手消費者金融が、その銀行の提携先の保証業務を請け負うという事が増えて消費者金融の保証業務拡大にも繋がりました。

消費者金融を傘下にした事によりカードローンの貸付増の要因に

上記のような流れから、経営難になった消費者金融を銀行が傘下に収めた事により、個人融資に関しても業務を拡大する要因の一つになりました。

カードローンに関わる法律の解説と是正の流れ

日銀の金利政策によって収益が減少

銀行の貸付金利は、日銀の金利政策の影響を受けるため、日銀の金利政策が緩和的だと銀行の貸付金利は低くなりやすくなり、反面で引き締め気味だと貸付金利は高くなりやすくなります。バブル崩壊以降、日本は長年の不況に悩まされており、日銀の金利政策はずっと緩和傾向にあるため、短期・長期の金利は限界まで低くなっています。金利が低くなると、銀行の収益は少なくなります。

さらなる金融緩和を予測して収益率の高いカードローンを強化

銀行カードローンの貸付残高が増加し始めたのは2012年頃です。その頃の銀行は、安倍内閣のもとでさらなる金融緩和が行われ、住宅ローンや企業への貸付だけでは収益が減少するだろうと予測し、カードローンの貸付強化に乗り出しました。

カードローンは、その他のローンよりも金利が高いため収益率も高くなります。実際、カードローンを強化した事で、カードローンによる収益が前期比の5倍にまで上昇した銀行もあるほどです。

また、銀行がリスクを取ってカードローンの貸付強化に乗り出したのは、貸金業者の保証業務の拡大も影響しているようです。

貸付残高の増加によって新たな問題も出てきた

着々と利用者が伸び、貸付残高も増えてきている銀行カードローンですが、貸付残高の増加により新たな問題も出てきているようです。

銀行カードローンが原因の多重債務者が増加傾向

銀行カードローンの貸付残高が増加するに伴って、銀行カードローンが原因で多重債務になってしまう人も増加傾向にあるようです。多重債務者の増加が、金融庁によって問題視されはじめています。

金融庁が消費者ローンを巡る銀行融資を問題視している。2010年に施行した改正貸金業法で消費者金融会社の貸出総額に制限がかかったため、消費者金融で借金を重ねる「多重債務者」はピーク時の5%まで減少。一方、貸し出し規制のない銀行によるカードローンなどが増加。金融庁は銀行による過剰な貸し出しや過度な宣伝がないか調査を始めた。(中略) 一方、大手行や地銀などは規制の対象外でカードローンなどで融資を伸ばしている。金融庁が13日に開いた多重債務問題の有識者会議では、委員から「銀行によるローンが重なっても危険な状況になる」と過剰な貸し出しを懸念する指摘があった。金融庁は銀行によるカードローンの融資実態の調査を開始。融資の審査手法や、行き過ぎた宣伝がないかなどを調べている。 出典: 日本経済新聞 2016年12月13日の記事

金融庁の指導が入る可能性がある

金融庁は、金融機関の検査・監督などを行う機関で、金融安定化や預金者・投資家保護などの役割を担っています。もし、金融機関に違法行為などがあった場合は、金融庁はその金融機関に業務停止命令を出す権限があります。

上記、日経新聞の内容には、「金融庁は、銀行によるカードローンの融資実態の調査を開始。融資の審査手法や、行き過ぎた宣伝がないかなどを調べている。」という事が書かれています。これは、調査によって、行き過ぎた行為があったとみなされた場合には、銀行への指導が入る可能性を示しています。

銀行カードローンに何らかの影響が出る?

金融庁の調査が入る事でどの様な影響が出るのか?現時点では、正確には分かりません。今後の動向を注視する事が大切です。

まとめ

・銀行カードローンの貸付残高が、消費者金融などの貸付残高を上回った
・銀行カードローンの貸付残高が増加しているのは、貸金業法改正などの影響が大きい
・金融庁が、銀行カードローンの調査に入る事により何かしらの影響が懸念される

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