債務整理とは?債務整理の種類やそれぞれのメリット・デメリット解説

2016年11月3日
債務整理とは?債務整理の種類やそれぞれのメリット・デメリット解説

債務整理と言うとテレビやドラマでよく聞く言葉なので聞いたことはあると思いますが、ちゃんと理解している方はあまりいらっしゃらないと思われます。債務整理は借金の返済が厳しくなった場合に行うものですが、債務整理にも種類がありその内容も変わってきます。この記事ではその債務整理について詳しく解説していきます。

目次

債務整理とは?

債務整理とは、法律に則って借金の減額や免除などを行う手続きの事を言います。債務整理には「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3つの種類があります。

債務整理の種類ごとの違い

債務整理に種類があるのは借金をしている人(債務者)の借金額や返済能力に合わせた債務整理を行うためです。借金額や返済能力にあわせて債務整理の種類を並べると以下の順になります。

債務整理の種類 借金の大きさ 返済能力

任意整理

小~中

中~大

個人再生

小~中

自己破産

中~大

無し~小

債務整理にかかる費用は?

債務整理にかかる費用は、その種類や弁護士依頼の有無などでも変わるため一概には決まっていませんが、弁護士に依頼する際の平均的な相場は以下のようになります。

任意整理に掛かる費用の相場

任意整理の場合は、債権者との直接交渉になるため着手金が1社あたり3万円~5万円というのが相場となっています。また過払い金が発生した場合などには過払い金の◯%といった具合の追加費用が発生します
弁護士事務所によっては着手金は不要なところもあり、和解交渉に成功した場合に報酬として費用を受け取ることがあります。

個人再生に掛かる費用の相場

個人再生の場合にはバラつきが大きく、45万円~70万円ほどの費用がかかります。個人再生手続きは自分で行うことも可能ですが手続きが多く弁護士などに依頼する事がほとんどです。そのため個人再生にかかる費用は債務整理の中でも1番大きくなっています。

自己破産に掛かる費用の相場

自己破産の相場は25万円~38万円となっています。自己破産を行うと財産の無い人はそのまま次の手続きに移りますが、財産がある人は管財人によって財産の換価が行われるためその管財人の選定費用の負担が発生します。

任意整理について

任意整理とは?

任意整理は債務者(借り手)と債権者(貸し手)どうしの話し合いによって借金の減額などを行う手続きです。任意整理は債務整理の中で最も行われている手続きで、債務者自身でも行う事ができます。

任意整理のメリット・デメリット

任意整理のメリット・デメリットには以下のような事があります。

メリット

・弁護士からの申し立てによっていったん取り立てが止まる
任意整理を弁護士や司法書士に依頼すると、債権者に対して受任通知という通知書類が送られます。受任通知を受け取った債権者はその時点で取り立てが行う事が禁止されます

・出資法が適用されていた場合に借金が減ることがある
以前までは出資法と利息制限法の金利差によってグレーゾーン金利と呼ばれるものが存在したため、余計な利息が発生していました。ですが現在はどちらの上限金利も同じ水準ため、任意整理を行うとその金利差で生まれた余分な利息を過払い請求によって回収することができ借金の減額につながります

・財産は残る
任意整理の大きなメリットとして財産の没収などが無いことです。そのため財産を手放すことなく借金の返済を進めていく事が可能です。

デメリット

・借金が減らないこともある
過払い金などが発生しない場合には借金総額が減らないこともあります。ですが損害遅延金や将来に発生する利息などはカットできることもあるため、借金返済には有効です。

・債権者との交渉が成立しないこともある
弁護士などによる交渉を行いますが法的拘束力はないため、交渉先の財務状況が悪いと交渉に応じない可能性もあります

・ブラックリスト入り
任意整理を行うと信用情報機関に事故情報として5年程情報が残ります。そのためその間はローンなどの借り入れはできなくなります。

任意整理を行うとどうなる?

任意整理は借り入れ時までさかのぼって、利息制限法による金利の再計算が行われます。そのため、グレーゾーン金利(出資法が適用されていた)だった場合には、過払い金が発生し、過払い金返還請求などを行う事によって借金の減額につながります。
また、任意整理を行うと将来発生する利息をカットできる場合がほとんどのため、任意整理後の返済はほぼ元金のみの返済になり、この元金を3年~5年の間で分割払いによって返済を行います

任意整理の流れ

任意整理を行う場合の大まかな流れは以下のようになります。

1.法テラスなどで無料相談を行う。
任意整理は債務者自身でも行うことができますが、その場合複数の借り入れ先との交渉をいくつもこなす必要があるため、弁護士などに委任した方が手続きも早く進みます。また、相談は無料で行える法律事務所は多いので、債務整理を考えている場合には一度相談してみると良いでしょう。

2.弁護士へ委任
法テラスなどで相談を行い任意整理が可能となれば、弁護士などに任意整理手続きの委任を行います。委任の際に発生する着手金などの費用は弁護士事務所によって変わるため、無料相談時に紹介される弁護士事務所の費用が高いと感じた場合には他の弁護士事務所を選択する事も可能です。

3.債権者への受任通知の送付
受任通知とは、弁護士などが債務者から債務整理の委任を受けた事を債権者に知らせるためのものです。この受任通知を送付すると、債権者は債務者に対して直接の取り立てを行うことができなくなるため、取り立てがいったん止まります。

4.和解交渉
和解交渉では将来の利息や遅延損害金のカット、返済期間などについて交渉が行われます。交渉は債権者ごとに行われるため、債権者の経営状況が良くない場合などには交渉が決裂することもあり、場合によっては残高の一括返済を求められることもあります。

5.和解契約締結
和解交渉がうまくいった場合、債務者と債権者の間で和解契約を結びます。和解契約を結ぶとどちらかに契約違反があった場合には和解契約内容と法律に基づいて裁判を行う事が可能です。

任意整理後の返済について

任意整理後は利息のカットなどが行われた残高を分割で返済していきます。自分自身で1社ずつ返済して行くことも可能ですが、弁護士事務所に毎月の返済代金を預けると1回あたり1,000円で、各社への返済を代行してもらうことも可能です。

返済が遅れると弁護士が辞任することもある

返済が遅れたとしても1回程度であれば見逃してもらえることもあるようですが、2回目になってしまうと弁護士の辞任につながります。その理由は、和解契約の内容には2回以上の延滞で契約が解消されるというようなことも盛り込まれている可能性があるため、和解契約が解消になると弁護士の辞任が起きてしまいます。
また、和解契約が解消されると債権者から借金の一括返済を求められ、債務者はこれに応じる義務が発生します。

個人再生について

個人再生とは?

個人再生とは民事再生とも呼ばれる借金の大幅な減額を目的とした手続きです。個人再生は自己破産と任意整理の中間的な存在で、任意整理とは違い裁判所を介して法的に借金の減額を行います。

個人再生のメリット・デメリット

メリット

・マイホームを手放さなくて済む
個人再生の大きなメリットはマイホームを手放すこと無く減額された借金の返済を行うことが可能なことです。

・借金の大幅な減額が可能
5,000万円未満の借金を最大で10分の1まで減額することが可能です。これは法的拘束力があるため債権者は減額に応じる必要があります。

・免責不許可事由があってもOK
免責不許可事由とは借金の原因として債務者に落ち度があるようなことです(例えばギャンブルでの借金など)。個人再生はそのような場合であっても借金の一部が免責されます。

デメリット

・官報に載る
官報とは国が発行している新聞のようなもので、個人再生や自己破産の場合には官報に氏名などの個人情報が掲載されます。職場の仲間や友人が見ることは少ないでしょうが、ヤミ金業者などはその情報をもとにダイレクトメールなどを送りつけてきます。

・財産が多い場合は返済額が多くなる
下記でも説明しますが財産が多い場合は圧縮された金額よりも多く返済する必要が出てきます。

・ブラックリストに載る
個人再生の場合も信用情報機関に事故情報が残ります。その場合の保存期間は5年~10年となっています。

個人再生を行うとどうなる?

個人再生を行なった場合には裁判所を介して債務者の借金が大幅に圧縮されます。そして債務を圧縮したうえで3年~5年の間で分割払いによって返済を行っていきます
借金圧縮の際には返済中の住宅ローンは残す事が可能となっているため、持家を手放すこと無く借金の大幅な圧縮・返済が可能です。

財産圧縮の基準

個人再生によって財産の圧縮が行われる場合は以下の基準に沿って最低額が決まります。

借金総額 圧縮した場合の返済総額
(最低弁済基準)

100万円未満

全額

100万円以上500万円未満

100万円以上

500万円以上1,500万円未満

総額の5分の1

1,500万円以上3,000万円未満

300万円以上

3,000万円以上5,000万円未満

総額の10分の1

財産以上の支払いが必要になることも

個人再生を行う際に債権者に住宅以外の財産がある場合は、その財産を借金返済に充てる事になります。そのため、例えば500万円の借金を個人再生で圧縮して100万円になった場合でも、財産が200万円あれば200万円の返済義務が出てきます。財産と言うのは不動産や退職金などが挙げられます

自己破産

自己破産とは?

自己破産は、多重債務により借金の返済ができなくなった人物の借金免除を目的とした続きの事を言います。自己破産手続きを行なったうえで、裁判所が破産申し立てを行なった人物に返済能力が無いと判断した場合に、その人物の借金を裁判所命令で帳消しにします。

自己破産のメリット・デメリット

メリット

・借金がなくなる
自己破産を行い免責が認められるとそれまでの借金がすべてなくなります。※税金滞納分はなくなりません。

デメリット

・財産処分がある
自己破産を行うと価値の高い財産は借金返済に充てられます

・生命保険勧誘などの仕事一定に期間つけない
自己破産手続き開始から一定期間は生命保険勧誘や警備員などのある特定の仕事には付けません。

・ブラックリストに載る
自己破産を行うと信用情報機関に事故情報として10年間保存されます。

・官報に載る
自己破産を行うと個人再生と同様に官報に個人情報などが記載されます

自己破産するとどうなる?

自己破産は「破産」と「免責」の2つの手続きに分かれます。そのため自己破産を行うとまず破産宣告を受けます。破産宣告を受けると破産者の資産価値の高い財産は没収・換価(現金化)され、債権者に再分配されます。資産価値の高い財産がない場合にはそのまま免責手続きへ移ります。

免責手続は破産者の返済義務の有無を決定する手続きで、免責決定を受けて初めて借金が免除になります。免責許可となった場合でも税金滞納分などは免責とはならないため注意する必要があります。
もしも免責不許可になった場合には高等裁判所へ異議申し立てが行なえますが、それでも不許可の場合は任意整理などを行い、少しずつ返済する必要があります。

免責不許可事由

免責不許可となる事由は虚偽の申告や借金の原因がパチンコなどのギャンブルだった場合、返す気のない借金をした場合などです
また自己破産が2回目の場合、1回目の免責許可から7年が経過しないと原則認められることはありません。ですが裁判官の裁量によっては、7年以内であっても免責許可の決定をすることがあるようです。

誤解の多い自己破産

自己破産に多い誤解は以下のような事があります。

財産がすべてなくなる

破産宣告を受けると財産の没収・換価が行われるため、財産をすべて持っていかれると思われがちですがそうではなく、自己破産を行なっても破産者の最低限の生活は守られるようになっています
そのため、都道府県によっても異なりますが一定の財産は残るようになっており、また減価償却期間の過ぎた車などは没収されることなくそのまま利用ができます
※減価償却とは時間の経過や使用により価値が減少する資産を、耐用年数に応じて費用計上していくことです。資産によって原価償却期間がそれぞれ決まっています。

戸籍や住民票に破産記録が記載される

自己破産の記録は官報や信用情報には載りますが、住民票などに自己破産の記録が記載されることはありません

預金口座が利用できない・作れない

自己破産をしても口座のある銀行に借金などをしていなければ、預金口座が使えなくなることはありません
ですが預金口座に多額の預金がある場合には破産手続き時に没収されます。

年金がもらえなくなる?

年金受給のための要件を満たしていれば将来の年金がもらえなくなることはありません。また、生活保護も同様に自己破産を行なったからと言って受給対象外の原因にはなりません。

まとめ

・債務整理は「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3つの種類がある
・任意整理のメリット
 借金の取り立てが止まる
 出資法が適用されていた場合に借金が減ることがある
 財産は残る
・個人再生のメリット
 マイホームを手放さなくて済む・大幅な借金の減額ができる
 免責不許可事由があってもOK
・自己破産のメリット
 借金がなくなる

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